流れに抗わず、流れの力を上手に利用することがリバーSUPの真骨頂です。流れが作り出す川の複雑なメカニズムを理解しましょう。
川の方向:流れてくる方が上流側、流れて去って行く方が下流側。下流側に向いて右手側が右岸、左手側が左岸とです。
本流:流れは、向きや強弱が異なる何本かの筋で構成されており、その中でも最も太い流れです。
流芯:流れの筋の中で、背骨といえる最も水が厚く強く流れている部分。
エディ:岩などの障害物に流れがぶつかる、または掠めることで、障害物の下流側にできる流れがほとんど止まっている水面のこと。エディに入ることをエディキャッチと呼ぶ。瀬の中のエディから次のエディへホッピングしながら下るのもダウンリバーの醍醐味の一つ。
エディライン:流れとエディの間にできる渦やボイルが発生する不安定な境界。エディに入る時、出るときには、これを突破するスピードが必要で、強い順に、エディライン<エディフェンス<エディウォールと呼ぶ。強くなるとエディの中から出られなくなってしまうこともあります。
ボイル:エディラインの渦や、ホール、ドロップ、滝などにより、深く潜った水流が再び水面へ浮上する場所。まるで沸騰しているような表面感を示す。不規則な流れを作り出し、そこに入ると極めて不安定になります。
バックウォッシュ:上流へ巻き返す空気を大量に含んだハイドローリック(循環流)。接近すると引き寄せられる。空気の含有率が40~60%と多いためボードやPFDの浮力が奪われます。リサイキュレーションフローと呼ばれ、後述するキーパー、ストッパーもしくはポワオーバーといわれるホールや、洪水時の堰堤に見られるような非常に強烈なローラー状の巻きとなります。
ウエーブ:頂点に軽いバックウォッシュを備えた波。川の波は、水中の地形や岩によるもので、同じ場所に一定の形状で立ち続ける。形の良いものではサーフィンが楽しめる。適切な侵入角とスピードがあれば突破できます。
ホール:強いバックウォッシュを伴ったウエーブ。不用意に接近すると捕捉される。キーパーもしくはストッパーとも。
ポワオーバー:強力なキーパー/ストッパーホール。避けて通らないとハイドローリックに巻かれ、なかなか脱出できません。ウエーブ<ホール<ポワオーバーの順で強くなる。ダウンリバーではまず近寄らないことが身を守るすべです。
堰堤:増水時には強烈なハイドローロックを伴います。 ほとんどの天然のホールとは異なり、バックウォッシュは流れの向きに対し直角方向に強いローラー状態を形成。 入ってしまうと強力な水流に補足され、激しく巻かれて脱出はままならず、溺死に至る深刻な事故を引き起こすことがあるため、殺人堰堤とも呼ばれます。
ドロップ:滝よりも落差の大きくない落ち込み状の瀬。
橋脚:瀬の中にあることが多く、水は橋脚にまっすぐ当たっていくので、その流れに乗らないこと。ぶつかると動水圧で押し付けられ、ラッピング(張り付き・巻きつき)してしまいます。悪ければ動水圧でボードと橋脚の間に挟まって脱出不能に(ラッピング)。橋脚の下流側にできるエディも危険なものが多いので注意。
※写真はかなり穏やかな流れ。障害物に対してはすべてに共通するが、注意しつつ行きたい方向に視線を定めてルート取りをします。
消波ブロック:一般にはテトラポッドともいう。カーブした流れの外側に設置されていることが多い。水はブロックの中を通っていくので、ブロックを抜ける流れに押されないよう早めに回避ルートを取ります。ブロックに引っかかると動水圧で押し付けられ脱出は困難です。
アンダーカットロック:流れが長年かけて岩を抉ってオーバーハング(逆三角形)になった岩や岩壁。流れがそこへ入り込んでいる場合があり、うかつに接近すると引き込まれてしまいます。何かに引っかかりでもすれば浮上もできません。水量によっては、水面下に隠れてしまって、見つけるのが難しい場合も多くあります。死亡事故につながる障害物。
シーブ、ストレーナー:流れてくる水を通すが、人やボードなどの物体は通さない岩や木、自動車などの隙間のある障害物。うかつに接近するとく流れに押されて引き込まれしまい脱出が出来ない。死亡事故につながる障害物。
ログ:木が倒れ岸から突き出したり、岩などに引っ掛かって流れの中に横倒しで存在する状態。体やボード、リーシュが引っかかってしまうと、瞬く間に強い動水圧が懸かってログに強く押しつけられ、人の力では離れられないという大変危険な状態となります。顔が水面下に没してしまうと息ができず助かる可能性は非常に低くなります。まず近づかない事。日本の河川では、放置されたままの間伐による細い丸太が大雨などで川に流れていることが多くあります。死亡事故につながる障害物。